DOACによる消化管出血での死亡率~20研究のメタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2025/06/18

 

 抗凝固薬による消化管出血は、発生頻度や死亡リスクの高さから、その評価が重要となる。しかし、重篤な消化管出血後の転帰(死亡を含む)は、現段階で十分に特徴付けられておらず、重症度が過小評価されている可能性がある。今回、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のNicholas L.J. Chornenki氏らは、直接経口抗凝固薬(DOAC)関連の重篤な消化管出血が30日全死亡率の有意な上昇と関連していることを明らかにした。Thrombosis Research誌2025年5月24日号掲載の報告。

 研究者らは、静脈血栓塞栓症または心房細動と診断されDOACを処方された成人を対象とした大規模ランダム化比較試験とコホート研究について、データベース(MEDLINE、EMBASE、Cochrane CENTRAL)で検索し、消化管出血の発生件数に対する死亡件数で測定した消化管出血後の30日全死亡率を主要評価項目とした。また、対象研究のバイアスリスクをmodified QUIPS(Quality In Prognosis Studies)で評価し、逆分散法を用いて要約推定値を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・7,824件の研究から646件をレビューし、20件が解析に含まれた。
・解析対象は、全20研究においてDOAC治療後に重篤な消化管出血を来した3,987例であった。
・30日全死亡率の統合推定値は8.4%(95%信頼区間[CI]:4.9~12.5、I2=83%)であった。
・サブグループ解析では、以下の結果が示された。
◯前向き研究(9研究)
 主な消化管出血:675例、30日全死亡率:10.3%(95%CI:6.5~14.7、I2=24%)
◯後ろ向き研究(11研究)
 同:3,312例、同:7.3%(95%CI:2.2~14.4、I2=90%)
◯バイアスリスクが高いと判断された研究(9研究)
 同:387例、同:12.9%(95%CI:6.3~21.1、I2=44%)
◯バイアスリスクが低いと判断された研究(10研究)
 同:3,562例、同:6.1%(95%CI:2.9~10.1、I2=89%)
※1件の研究はバイアスリスクが不明であった。

 なお研究者らは、「本集団における死亡原因と寄与因子について、さらなる研究を行うことで高リスク患者を特定し、リスクを軽減できる戦略を策定していく必要がある」としている。

(ケアネット 土井 舞子)